戦国ランスオリキャラであれこれ
我輩はジジイである。名前は小金充。なんとも金満っぽい名前ではあるが、大して金持ちではない。ついでに言えば、そんな事は重要ではない。大切なのは他のところじゃ。
よく見てみるがいい。
小金充→小 金充→小銃
小銃じゃぞ小銃! ライフルじゃ!
不肖、この小金。太平洋戦争の頃は東京砲兵工廠で働いておった。三八式歩兵銃や九九式短小銃もこの手で作った事もある。終戦後も小銃の魅力に取り憑かれ、64式7.62mm小銃の生産にも関わった。
まあ兎に角、名は体を現すというか、儂は老いてなお小銃好きの道楽爺であるわけじゃな。
さて、今ではとっくに定年を迎えて年金暮らしの儂じゃが、一つ趣味があっての。
それは、ちょちょちょいとちょろまかした工作機械を使っての小銃のレプリカ作りじゃ。レプリカといっても実用に耐えうるもので、世間様に露見すればあっという間に御縄頂戴、クカカ、スリルじゃのう。
最近では、ネットを通じて同じく軍事オタクや小銃オタと友誼を通じ、メッセで熱く語ったり実物の画像をうpしたりしておる。いやはや、便利な世の中じゃのう。
で、今回オフ会を開催する運びとなって、目玉として三八式と九九式のレプリカを持って行く事になったのじゃ。
これが決まった時のお祭り騒ぎといったらなかったのぉ。特に三八式は、ゼロ戦に並んで名高い太平洋戦争時の名兵器じゃ、皆がイヤッホーーーーーーーウと喜ぶのも無理はなかろうて。しかも儂、皆には儂の年齢と経歴は伏せておるからの、正真正銘の軍属であった事を知った時の皆の驚く顔が見てみたいわ。保管してある軍服を着て行っちゃろうかとサービス精神を発揮したくなるもんじゃい。
……そんな事を思っていた頃が儂にもありました。
どんなにテンションが高くて気力があっても、齢八十五歳のこの身、矍鑠とはいかなくなって、手先がプルプル震えよる。で、余りにもぷるぷるするもんだから。
「あ”」
調合中じゃった、三八式実包の火薬が、こう、な? つまりは、倉庫にあった火薬ごと「あぼーん」じゃ。多分ニュースになったじゃろうなぁ……。同士たちも「ちょ、おまwww」もしくは「無茶しやがって……」となっとる事じゃろうのぉ。
で、まあなんで人事のようにそれを思い返し取るのかというとな。今際の際か、はたまた輪廻の輪の入り口か。そこで巨きなクジラの夢を見た、様な気がするのが原因じゃろうの。
そして気がつけば。
「おい、こっちは生きてるぞ! 重彦様、成章様は生きておられます!」
「なにぃ!? おう、急いで巫女呼んで来い! 柚美! お前の兄貴は生きてるぞ!」
なんじゃろうね、この超展開。
で、じゃ。
あの後、儂はまた失神してたんじゃが、目が覚めた時に目の前におったのが、えらく四角いナニカじゃった。どう考えても人間じゃないじゃろ、この角ばり具合は。
どうやらその男は種子島重彦という人間らしく、この国の国主、であるらしい。
国主……はて、この男(仮)は何を言っておるんじゃろうか。天皇陛下や首相を差し置いて国主など、頭がおかしいんじゃなかろうか。まあ取りあえず輪郭とかは間違いなくおかしいんじゃが。
駄菓子菓子、もといだがしかし。頭を打って記憶がない、と誤魔化して色々情報収集に努めてみると、どうやらこのポリゴン男がおかしいわけではない事がわかってきよった。
まず、この世界。どうやら儂がおった世界ではないらしい。まあ、あんな角ばった人間がいる時点で気付くべきじゃったんじゃろうが……。
さておき、儂が生きておった世界は、巫女さんが舞ったり踊ったりするだけで傷が治ったり体力が回復するような世界ではなかったと記憶しとる。幾ら耄碌したからといって、儂ぁそこまでボケちゃあおらんかったはずじゃ。で、儂が寝かされておった部屋も、平成の世の物とは大違い、大正昭和の物でももちろんなかった。いうならば……戦国から江戸、その辺りの生活形態であるように思う。
その他にも、この国がJAPANというだとか、上杉謙信はいるが女だったりとか、妖怪(!)の国があるだとか……どう考えても、儂がおった世界、またはその過去、という判断は下せない。
加えてこの儂の身体、もちろん儂自身の肉体ではなかった。もともとの儂の肉体は、あの爆発で木っ端微塵になってしまったじゃろうからの。さらば、八十年来の付き合いじゃったあの身体。で、こんにちわこっちの世界での新しい身体、というわけじゃな。
どうやらこの身体、柚原成章という男の身体じゃったそうじゃ。なんでも、この男も兵器開発、それも火縄銃の開発に携わっておった優秀な人間のようじゃが、その最中に暴発に巻き込まれたらしい。
……恐らく、その事故でもともとこの肉体で生きておった「柚原成章」という男は死んでしまったんじゃろう。そして、これは直感じゃが、儂の脳裏にかすかに残る、あの巨大なクジラ……。あれが一枚噛んで、そして儂の魂がこの肉体に変わりに宿ったんじゃろう。あれは、いわゆる神という存在じゃったんじゃろうな。
多分に推測が混じっておるが、儂は現状に至る経緯をこのように判断した。
思ったよりもすんなり異世界に来てしまったという事を受け入れる事が出来たのは、自分でも驚きじゃが……考えてみれば、六十と数年前のあの日にも、世界は一変してしまったからの。あの経験がこんなところで活きた、というわけじゃな。まさに人間万事塞翁が馬、というヤツじゃ。
で、現状把握がすめば、後はもうここで生きていくしかない。オリジナルの柚原成章という男、どうやら研究ばかりで人付き合いが少なかったらしく、儂が乗り移ってからも誰からも気付かれなかった。唯一の身内である、妹の柚原柚美も、どちらかというと父親に懐いておったらしく、兄とはあまり交流がなかったようじゃ。兄も兄で、妹にはあまり構っていなかったようじゃし。
当の父親が、暴発事故で亡くなってしまった今となっては、生死の狭間から舞い戻って、自分を一人にしないでくれた兄にそれなりに懐いておるようじゃが。
まあ、これも兄妹ここから始めるのだ、と前向きに考える事にした。
で、じゃ。怪我が治ってきて気付いたが、この身体。若いんじゃよ。恐らく二十歳近辺じゃろうが、なんというか、もう最高じゃ!
「こいつ……(プルプルせずに)動くぞ!」
とか
「すごい、エネルギーゲイン(というか体力)が五倍以上ある!」
といった感覚じゃ。指先も機敏に動くし、視界も鮮明、ああ、若いって素晴らしい!!!
加えて世情もいい。
時はどうやら戦乱の世。つまり「世界は兵器を、地獄のような兵器を望んでいる」わけじゃ。
加えて劣悪な研究環境。精密加工の出来る工作機械などあるはずもなく、未だ職人による手工業がメインとなっておる。
だ が そ れ が い い !
劣悪な環境で、汗水を垂らして開発し、そして失敗し、また開発。うむ、幸福の永久機関じゃな。
これも天の采配か、この種子島家が治める丹波、技術立国を目指しているのか鍛冶屋が集まっており、最近では鉄砲の研究開発が始まっておる。
儂の脳みそには、火縄銃からの知識も一応備わっておる。ここの技術レベルでは金属薬莢は生産出来んじゃろうし、活かせるのは早合の導入や運用法、いや、むしろ反射炉とまでは言わんからせめて高炉の開発導入かのう? ……耐火煉瓦とか造れるんじゃろうか、この世界。
いや、いやいや! 臆すまじ!
何の因果か、今やこの身は柚原成章! そう、成章の名を持つのじゃ! その名を持つ以上、優れた銃を生み出すのは宿命じゃ! 有坂卿のご尊名を穢さぬよう、粉骨砕身、開発三昧じゃあ!
「……というわけじゃから、いい加減退院させてくれんかのう?」
「駄目です!」
「ぬお、そんな無体な! もう一ヶ月も寝とるんじゃ、つまりもう一ヶ月も開発しとらんのじゃよ!? あぁああもう禁断症状ががががががが!」
で、更に一週間の我慢じゃと。うぅう、焦らすのぉ……。
まあいいわ、幸い柚原家はこの国に於いてそれなりの地位にあった様子で、国主種子島重彦の覚えもいい。それを利して立場を掴み、開発尽くしの生活を送ってやるわい!